気持ちの負担
親御さまが見守りを嫌がる理由は、機械への苦手意識だけではありません。「見られる側」「助けられる側」になることへの抵抗が関係する場合があります。
心理学では、人が一方的に助けられ続けると、望まないのに支えられる立場になり、返せない負担を感じることが知られています(心理的負債感)。
老年学には、援助をする人が最も援助を受けるという考え方(ヘルパー・セラピーの原則)があります。
見守り機器だけでは会話は増えません。通知をきっかけに、家族が自然に声をかけられる状態を作ります。
健康との関係
ここからは、日本最大級の高齢者追跡研究 日本老年学的評価研究(日本老年学的評価研究)の知見です。数万人を数年追いかけた調査は、一貫した事実を示しています。
参加する活動が1種類、2種類、3種類以上と増えるほど、要介護リスクは段階的に下がりました。
金森氏ほか、国際学術誌, 2014年/対象12,951人・4年追跡
同じ参加でも、会長・世話役などの役職を持つ人は、一般会員(21.1人)より死亡リスクが低いと報告されました。
石川氏ほか、国際学術誌, 2016年/対象10,271人・約5年追跡
役職を持つ前期高齢者は発症リスクが約2割低く、まったく参加しない人は一般会員より約2割高いという結果でした。
根本氏ほか、国際学術誌, 2017年/対象13,850人・平均7.9年追跡
運営を地域で関わりを持つ人は、参加するだけの人より、心の健康度も人とのつながりの豊かさも高いと報告されています。
江尻愛美 ほか, 日本公衆衛生雑誌, 2022年/東京都155グループ・2,096人
集まりに顔を出すだけでも意味はあります。
認知機能との関係
アメリカで、高齢者が小学校で子どもの学習を支える先生役を地域で関わりを持つプログラム(地域参加プログラム)の効果が、ジョンズ・ホプキンス大学の研究で調べられました。
約半世紀前、施設の高齢者に植物の世話や予定の選択といった小さな責任と選択権を持ってもらった研究があります(ランガー氏・ロディン氏、1976年)。
孤立によるリスク
ここまでは出番があると良いという話でした。では逆に、つながりが乏しいと何が起きるのでしょうか。
世界148の研究・のべ約31万人を統合した分析では、強い社会的つながりを持つ人は、そうでない人より生き延びる可能性が約50%高いと結論づけられました。
ホルトランスタッド氏ほか、国際学術誌, 2010年/148研究・308,849人のメタ分析。これは客観的なつながりや支え合いを含めた社会的関係全般を測ったもので、孤独感だけを指すものではありません。
まだ元気だと思えるうちにこそ、つながりを絶やさないことが備えになります。トップページの「交流が少ないと要介護1.4倍」という数字も、この流れの中にあります。
結論
ここまでを一つにまとめます。人とのつながりと、誰かに頼られる役割は、要介護・認知症・寿命にまで関わります。これが、数万人を追った研究の結論でした。
ところが、離れて暮らす親子ほど、つながりは自然に細っていきます。頼みごとの口実が消え、相手の日々の様子が見えなくなり、電話は「元気?」の一言で終わりがちです。
必要なのは、生活を細かく監視することではありません。
※ これらは社会参加・役割と健康の関連を示す研究報告です。当サービスのご利用による効果や、特定の病気の予防・改善を保証するものではありません。数値は各研究の発表時点のものです。
サービス方針
センサーは異変に気づくためのものです。一方で、親御さまの気持ちや役割は、家族との会話から生まれます。げんきのしるしは、この二つを一緒に設計します。
朝の動き、外出、室温、玄関の様子を確認します。
「今日は早く起きたね」「暑くなっているね」と自然に話せます。
料理、仕事、地域、趣味など、親御さまが伝えられることを整理します。